システムで使用するサーバーは消耗品であり、永遠に使い続けることはできません。サーバーを使用していると、やがて老朽化が進みリプレイス(交換)を行うタイミングがやってきます。
サーバーの老朽化が進むと、故障や不具合が増え、処理性能が低下するなどといった問題や、保守サポート期限切れにより適切なサポートが受けられなくなるといった問題が発生します。しかし、リプレイスには新しいハードの費用や、適切にリプレイスを行うための検討・手順作成・移行作業などのコストがかかるため、簡単に行えるものでもありません。
本記事では、サーバーリプレイスの概要と必要性、リプレイス実施時の注意点などについて解説します。
目次
サーバーリプレイスとは
サーバーリプレイスとは、一言でいうと「サーバーの交換」を意味しますが、具体的にはどのような作業を指すのでしょうか。まず、サーバーリプレイスの概要について解説します。
サーバーリプレイスとは
「リプレイス」(リプレースとも言う)は「交換する」という意味があります。サーバーリプレイスとは、老朽化したサーバーを新しいものに交換してシステムを継続稼働させることを指します。
サーバーは永遠に使い続けることができない消耗品です。長年使用していると老朽化が進み、ハードウェアの故障や不具合が増加します。また、ビジネスの拡大に伴ってシステムへの負荷が増加することも考えられますが、そうした際に相対的にスペックが不足して業務負荷に耐えられなくなる場合もあります。そのほか、OSやソフトウェアのバージョンアップに対して機器が必要要件を満たせず、バージョンアップができなくなる可能性もあります。
そもそもサーバーはメーカーにより保守期間が設定されており、保守期間が終了したサーバーはサポートが受けられなくなり、故障部品の交換などができなくなってしまいます。
サーバーを長年使い続けるとさまざまな問題が発生するため、サーバーリプレイスは避けられないものと考えるとよいでしょう。
サーバーリプレイスを行うタイミング
サーバーリプレイスを実施する時期を判断するポイントは下記の通りです。
- EOL/EOSL(サポート切れ)まで1~2年となった。
- 導入から5年以上が経過した
- 処理性能が低下してきた
- 故障が増加傾向にある
サーバーリプレイスには、新機種の調達やリプレイス方法の検討・準備などが必要となるため、余裕を持って準備を進める必要があります。
サーバーリプレイスの必要性
サーバーリプレイスを行なわずにサーバーを使い続けることでさまざまな問題があると解説しましたが、もう少し具体的に見ていきましょう。サーバーリプレイスを行わない場合、下記のリスクが考えられます。
- 製品不具合や障害のリスク
- セキュリティリスク
- 業務生産性低下のリスク
製品不具合や障害のリスク
サーバーは、メーカーによる保守サポートにより、故障や不具合が発生した場合でも部品交換や不具合に対する対応を受けることができます。しかしリプレイスを行わずにEOLを迎えると、製品の故障や不具合に対するサポートが受けられなくなります。
故障や不具合が発生しても交換や修理が行われないため、利用者側の責任において部品を調達・交換したり、修理対応可能な第三者による保守サービスを探したりすることが必要になります。メーカーがスポットで対応してくれることもありますが、一般的に保守の切れたハードウェアに対するスポット修理などは高額になりがちです。
セキュリティリスク
リプレイスを行わずにEOLを迎えるとメーカーによる保守サポートを受けられなくなりますが、これはセキュリティアップデートも対象です。サーバーのファームウェアなどに新しい脆弱性が発覚しても修正が行われず、セキュリティリスクを抱えた状態で利用することになります。
脆弱性の種類や危険度によっては、悪意のある第三者に攻撃されると情報漏洩やデータ破壊といった企業の信用失墜につながる甚大な被害に発展する恐れがあります。
業務生産性低下のリスク
ビジネスの拡大に伴い、業務量やデータ量が増えてシステムへの負荷も増加することが考えられます。そうした場合、旧型のサーバーでは相対的にスペックが不足して業務負荷に耐えられなくなる場合もあります。処理の遅延が発生して業務生産性が低下する可能性があります。
また、技術の進歩によって最新のサーバーはスペック・性能が向上し、消費電力なども削減されていることが多いため、業務量や負荷が増大していなかったとしても、旧型のサーバーを使い続けるよりもリプレイスした方がコストを抑えてパフォーマンス向上を実現できるメリットがあります。
サーバーリプレイスを行う際の注意点
サーバーを利用している限り、サーバーリプレイスは避けて通れません。ここでは、サーバーリプレイスを行う際に考慮するべき注意点について解説します。
余裕を持ってスケジュールを立てる
サーバーリプレイスは計画的に行う必要があります。サーバーがいつEOLを迎えるのかを踏まえて、それに向けた新サーバーの調達、リプレイスの手順作成、データのバックアップや事前検証など、リプレイスに必要な作業や検討要員を算出します。機器や要員の調達に必要な期間や作業期間を踏まえて、最終的にリプレイスの時期を決めるといったプロセスを策定していく必要があります。
システム移行の方法を検討する
サーバーリプレイスでは、サーバー上で稼働しているシステムとデータ移行が最も重要な作業となります。稼働しているシステムの性質によってさまざまな移行方法が考えられるため、あらかじめ移行対象となるシステムの要件やデータ量などを洗い出し、適切な移行方法を決めておくことが重要です。場合によっては、システムが使用しているソフトウェアの関係上リプレイスが困難であり、そのままハードウェアを延命させるかシステム自体をガラッと刷新してしまうかといった判断が必要になるかもしれません。
要件を明確化する
サーバーリプレイスの検討を行う際は、適切なサーバーを選定するために、要件を明確化することが重要です。新しいサーバーをいつまで使用するか、システムの負荷は今後どの程度上がっていく見込みがあるか、可用性や拡張性、セキュリティをどのように確保するのか、などによってサーバーの構成や必要とされるスペックが変わります。
サーバーリプレイスが難しい場合は
サーバーリプレイスにはコストや期間、手間がかかるため、すぐに実施が難しいという企業も少なくありません。もっと検討期間が欲しい、他の機器とリプレイス時期を揃えるために1年遅らせたいなどの要望も聞かれます。また、現在は半導体不足の影響でサーバーの調達に非常に時間がかかるようになっており、EOLまでに新サーバーへのリプレイスが間に合わないということもあるでしょう。
そのような場合は、第三者保守という手段があります。 第三者保守とは、EOLを迎えたサーバー・ストレージ・ネットワーク機器などのハードウェアを、メーカー以外の第三者によって行う保守サービスのことを指します。第三者保守には下記のメリットがあります。
- 保守切れ・EOL/EOSLとなった機器を継続利用できる
- リプレイス準備が整うまでのつなぎになる
- メーカー保守より安い場合が多いためコスト削減が実現できる
リプレイスが間に合わない場合の一時凌ぎとして利用したり、第三者保守を活用することで通常5年のライフサイクルを7~8年に伸ばしてリプレイスにかかる費用を削減できるといったメリットがありますので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
サーバーを使用している限り、リプレイスは避けては通れません。リプレイスを行わないと故障や不具合、セキュリティの脆弱性など、企業がビジネスを継続する上で大きなリスクを伴います。ただしサーバーリプレイスにはコストや期間・手間がかかるため、第三者保守もうまく活用しながら適切に対処していくことをお勧めします。