第三者保守とは?第三者保守のメリットと活用シーンについて解説

「第三者保守」という言葉をご存じでしょうか。企業のシステムを支えるPC、サーバー、ネットワーク機器などのIT機器は、メーカーによる保守サポートを受けることが一般的です。しかし、メーカー保守には期限があり、保守期限切れ(EOSL)を迎えると、故障時の修理・交換対応などが行われなくなります。その前にリプレイス(交換・置き換え)を行う必要がありますが、機器のリプレイスには多くの時間とコストがかかるため、企業にとっては大きな課題となります。

第三者保守は、そのような課題を解決するために、メーカー以外の第三者が行う保守サービスです。本記事では、第三者保守の概要やメリット、活用シーンについて解説します。

第三者保守とは

第三者保守とは、メーカーの保守が切れた(EOSLを迎えた)サーバー・PC・ストレージ・ネットワーク機器などのハードウェアを、メーカー以外の第三者によって保守を行うサービスのことを指します。

EOSLを迎えた機器は、故障や不具合が発生した場合でも、適切な修理やメンテナンスが受けられなくなります。その結果、機器が正常に動作せず業務に支障をきたしてしまうおそれがあります。いざ故障が発生してから新しい機器へ交換(リプレイス)しようとしても、機器の手配に時間がかかったり、高額な修理費用がかかってしまったり、システム側の対応工数が必要になったりなど、迅速な交換は難しいでしょう。

第三者保守は、このようなEOSLを迎えた機器に対する故障や不具合に対しても柔軟に対応してくれるため大きなメリットがあります。

第三者保守のメリット

第三者保守には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、代表的な3つのメリットについて解説します。

保守切れ(EOSL)を迎えた機器を継続利用できる

メーカーによる保守期間が切れてしまった機器は、部品の修理・交換が行われません。企業にとって、保守切れ機器を継続利用することは大きなリスクとなるでしょう。時間とコストをかけてリプレイスを行うケースや、業務縮小や代替運用を行って機器の利用を取りやめるケース、保守切れのリスクに目を瞑って騙し騙し利用し続けるケースなどもありますが、第三者保守によってメーカー保守切れの機器を継続利用することができます。

機器のリプレイスまでのつなぎになる

EOSLを迎えた機器のリプレイスはそう簡単にはできません。企業の状況にもよりますが、リプレイスを行う際は以下のような問題が発生するおそれがあります。第三者保守は、これらの課題を解決するために役立ちます。

費用が準備できない

リプレイスには新機種の購入費用や、構築・導入の費用が必要です。本来は機器の保守期限を管理し、計画的にリプレイスを行なっていくべきですが、諸事情によりリプレイス費用が捻出できない場合も考えられます。第三者保守によりリプレイス時期を延ばすことで、費用準備にかかる期間を確保することが可能です。

対応期間が取れない

リプレイスには新機種の調達だけでなく、設計・構築・動作確認のための時間も必要となります。リプレイス対応中も現行機器の保守が必要な場合に、第三者保守が役立ちます。

新機種に既存の機能が踏襲されていない

リプレイスにより現行機種から後継機種もしくは他社製品へ変更する際、現行機種で利用している機能が踏襲されていないことがあります。こうした場合、第三者保守を行うことで、現行機器を継続利用した上で対策のための期間を確保することが可能です。

新機種に既存のソフトウェアが対応していない

リプレイスにより機器を変更したことで、サーバーOSやミドルウェアなどが新機種に対応していないケースもあります。OSやミドルウェアの変更をすぐに行うことが難しい場合は、第三者保守により既存機器を継続利用した上で対策のための期間を確保することが可能です。

コスト削減になる

メーカーの保守費用は、イニシャルコストの2~3割かかるのが一般的です。また、EOSL後の延長保守についてはさらに割高となる場合が多く、故障時のスポット修理対応となれば尚更です。EOSL後の第三者保守はメーカーの延長保守よりも安く利用できる可能性があり、第三者保守を利用することで古い機器の保守コストを削減できるでしょう。

第三者保守の活用シーン

ここでは、第三者保守の具体的な活用シーンについて解説します。

メーカー保守が終了(EOSL)するが使用し続けたい

これまで利用していた機器がEOSLを迎えるが、EOSL後も故障などのリスクに備えながらできる限り継続利用したい、といったケースです。ミドルウェアやソフトウェアの互換性の問題などで簡単に移行できない場合や、近い将来停止することは決まっているため追加投資を避けたい場合などは特に第三者保守が役立つ可能性があります。

システムのリプレイスまでにハードウェアがEOSLを迎えてしまう

IT機器は製造時期によってEOSLの時期も決まります。そのため、導入時期を揃えられず五月雨式に機器を導入した場合など、決められたシステムのリプレイス時期よりも早くEOSLを迎える機器が出てくる場合があります。第三者保守は、機器単位で行うことが可能ですので、システム更改のタイミングまでEOSLの機器も延命することで、切りよく新システムへ移行することが可能です。

IT投資原資を生み出すためのコスト削減を狙う

近年では従来のオンプレミス環境からクラウドへと移行する企業も増えています。第三者保守を利用して戦略的にシステムの更改をスキップし、リプレイスにかかるコストとリソースを削減し、新技術に対応するための開発や人材育成などのための原資を生み出すようなことも可能です。これまでオンプレミスで稼働していたシステムに対して、近い将来クラウドへの移行が計画されている場合などに特に効果的です。

まとめ

IT機器のEOSLは既存のビジネスに影響を及ぼすおそれがあるため、迅速な対応が求められますが、企業の状況によってはリプレイスを行うことが難しい場合もあるでしょう。そこで第三者保守を活用することにより、例えば「あと1年だけ今のサーバーを使いたい」「リプレイスするほどの予算をかけられない」といった課題を解決することができます。EOSLの終了日が異なる製品間の「延長揃え」や、システムリプレイスの「つなぎ」としても役立ちますので、第三者保守の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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