センドバック保守とは? ハードウェア保守の種類と選び方を解説

ハードウェアの保守サポートとは、ITシステムを構成するサーバーやネットワーク機器などに故障が生じた際に、メーカーが修理や交換などを行うサービスです。万が一の故障に備えて欠かせないハードウェア保守ですが、いくつか保守の方法に種類があります。本記事では、センドバック保守、オンサイト保守などの違い、保守サービスの選び方などについて解説します。

ハードウェア保守とは

まずハードウェア保守サービスとはどのようなものなのか、ハードウェア購入後に標準で提供される製品保証と有償の保守サービスの違いや、保守サービスの種類について解説します。

製品保証と保守サービス

サーバーやネットワーク機器などのハードウェアには、メーカーによる標準の製品保証が1年〜3年ほど設けられています。その保証期間内であれば、故障が発生しても無償で修理やパーツ交換などの対応をしてもらえます。しかし標準保証期間の終了後については、保守サービスを契約していなければハードウェア故障の調査や修理などのサポートを受けることができません。

また、標準保証の内容はメーカーや対象のハードウェアによりますが、基本的にサポート対応時間が平日の日中帯だけであったり、修理対応も翌営業日以降であったりします。そのため24時間365日迅速なサポートが必要な場合は、標準保証期間内であっても追加の保守サービスを契約する必要があります。

保守サービスの内容

メーカーや対象の機器によって保守内容は異なりますが、一般的に以下のようなサポートを受けることができます。

  • 24時間365日の受付
  • パーツ保証/修理対応
  • ハードウェア診断
  • リモート通報(障害予兆検知)
  • 定期点検
  • OS、ミドルウェアのサポート

修理対応の方法(オンサイトかセンドバックか)、対応時間(24時間365日か、翌営業日かなど)、オプションの有無、保証期間(3年〜7年)など、さまざまな保守メニューが用意されているので自社のニーズや予算に合わせて検討しましょう。

保守サービスの種類

ハードウェア保守について調べていると「オンサイト保守」「先出しセンドバック」など、あまり聞き慣れない用語が出てくるかもしれません。ここでは主な保守サービス(保守方法)の種類について解説します。

  • オンサイト保守(訪問修理)
  • センドバック保守(引取修理)
  • スポット保守(パーコール)
  • 延長保守

オンサイト保守とは

オンサイト保守とは、ハードウェアが設置されている現地へメーカーのエンジニアが直接訪問し、その場で修理・復旧を行うサービスです。出張修理や訪問修理ともいいます。メーカーの有償保守サービスではオンサイト保守が一般的です。全国にサービスの拠点網があり、設置場所にもよりますが「4時間以内」など駆けつけまでの目標時間が設定されている場合もあります。
対象のハードウェアが大型の場合や、配送や引き取りを待てないような緊急性が高い場合によく利用されます。

オンサイト保守のメリット・デメリット

オンサイト保守はトラブルが発生した際に迅速に作業者が現場へ出向き対応するため、代替品の配送などを待たずにスムーズに復旧できることがメリットです。また利用者の目の前で修理を行うため利用者は安心感を得やすく、復旧後の注意点なども直接確認できます。
デメリットは出張費用などが加算されるため、一般的にセンドバック保守に比べて料金が高くなる傾向にあることです。オンサイト保守でも24時間365日、平日9:00-18:00、平日9:00-21:00などから対応時間帯を選択できる場合が多いため、必要なサポートレベルとコストを秤にかけて検討すると良いでしょう。

センドバック保守とは

センドバック保守とは、故障や不具合が発生したハードウェアをメーカーや販売店に送り、修理を受けたあとに送り返してもらえるサービスです。修理を受けている間に使用できる代替品を先に送ってくれる場合や、メーカーが引き取りのための運送業者を手配し手引き取ってくれる場合もあります。
センドバック保守はさらに以下のように分類できます。

先出しセンドバック

故障の連絡を受けたメーカーや販売店が代替品を発送し、利用者が受け取ったあとに故障品をメーカー側に送り返す方式です。この場合、修理を行っている期間は代替品を使用して早期にシステムを再開させることが可能です。

後出しセンドバック

利用者が故障品をメーカーや販売店に発送、あるいはメーカーの手配した運送業者に引き取ってもらい、受け取ったメーカー側が修理・交換完了後に送り返す方式です。この場合修理・配送期間中はその製品を使用できません。

パーツ保守(CRU交換)

利用者で交換が可能なパーツが故障またはメンテナンスが必要になった際に、交換に必要なパーツを現地へ発送する方式です。届いたパーツの交換作業は利用者自身で行います。このような利用者によって交換可能な部品のことをCRU(Customer Replaceable Unit)と呼びます。

センドバック保守のメリット・デメリット

センドバック保守は、オンサイト保守に比べてコストを抑えながら修理や交換を受けられることがメリットです。
デメリットとしては後出しセンドバックの場合、ハードウェアを使用できない期間が生じることが挙げられます。ハードウェアを複数台で冗長化しており、1台の故障が業務に即座に影響を与えない場合など、修理をそこまで急ぐ必要がない場合には向いているでしょう。

スポット保守とは

スポット保守とは、保守契約を結ばずに故障が発生した場合に都度対応を依頼する方法です。スポット保守のことを「パーコール保守」と呼ぶ場合もあります。
故障がなければ費用が発生しないというメリットがありますが、スポット保守は通常の保守契約に比べて1回あたりの費用は割高になるため、頻繁に発生するとむしろ高くつく可能性もあります。また、ハードウェアが老朽化しておりメーカーによるサポートが終了していた場合は保守部材などを確保できず、そもそもスポット保守も対応できる業者が見つからない場合も考えられます。

延長保守とは

延長保守とは、メーカーが定める保守サービス提供期間終了(EOL)後も保守サービスを延長するものです。ロングライフサポートや長期モデル専用サポートなど、標準的な保守サポート期間(サーバーであれば一般的に5年間)を超えて、7〜10年利用できるような延長保守サービスを提供しているメーカーもあります。ただし、対応がベストエフォートになったり、保守部材の状況によって継続提供が終了したりする場合もあるようです。
また、延長保守についてはメーカーではない専門業者による第三者保守サービスを利用するという選択肢もあります。

第三者保守サービスとは

第三者保守サービスとは、メーカー以外の第三者が行う保守サービスのことです。メーカーによる保守期限が切れたあと、そのままハードウェアを使い続けると故障した場合に修理や交換などの対応が受けられません。このような場合の解決策となるのが、第三者保守サポートの利用です。

第三者保守サービスを利用することで、以下のようなメリットが得られます。

メーカー保守が切れたハードウェアを継続利用できる

保守切れのハードウェアはメーカーによる修理や交換などのサポートが受けられないため、トラブルが発生した際のリスクが大きくなります。第三者保守サービスを利用することで代わりのサポートが受けられ、ハードウェアを継続して利用できます。

コストを削減できる

メーカー保守を延長することもできますが、割高になる傾向があります。第三者保守サービスを利用するほうがコストを抑えられることが多いです。またメーカー保守切れのタイミングでハードウェアのリプレースを行う場合、その都度新たなハードウェア購入や移行に必要なコストが発生します。第三者保守サービスを利用してハードウェアの延命を行うことで、リプレースの間隔が長くなりコストを削減できるメリットもあります。

第三者保守について詳しくはこちらの記事でも解説しています。
第三者保守とは?第三者保守のメリットと活用シーンについて解説 | ベアケアブログ

まとめ

ハードウェア保守とは何か、センドバック保守やオンサイト保守などの違い、それぞれのメリット・デメリットについて解説しました。センドバック保守はコストを抑えて、メーカーに直接出向く必要もなく手軽に修理を受けられます。ハードウェアの重要度や予算に応じて、適切な保守サポートを選択しましょう。
またメーカー保守期限の切れたハードウェアを継続使用する場合には、第三者保守サービスを利用するのがおすすめです。ベアケアでは、例えば「あと1年だけ今のサーバーを使いたい」「リプレイスするほどの予算がない」といったご要望に柔軟に対応できる「ハードウェア延長保守サービス」を提供しています。EOLの終了日が異なる製品間の「延長揃え」や、システムリプレイスの「つなぎ」としての活用も可能ですので、EOLに関して課題をお持ちであればお気軽にお問い合わせください。

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